8.ライトでディープな友人関係 ~「還暦お祝い辛かったこと」のおまけ付き~

「同じものが好き」というだけでつながれる時代の友人

 

GWに「旅友(たびとも)」2人と3人で旅行をした話を書いたら、「旅友」って昔からの友だちですか? と聞かれました。実は、違うんです。私たち、わりと最近知り合ったばかり、しかもきっかけはSNS。今回は、若い頃とはちょっと違う、BBAの友人関係について書いてみたいと思います。

 

5月に一緒に旅をした2人と知り合ったきっかけは、ツイッターでした。私が沖縄に行く予定をつぶやいたら、「私たちも同じ時期に沖縄に行くので、よかったら朝ごはん、一緒にどうですか?」とDMをいただいたのです。2人はすでに友人同士でした。

「旅友」とはツイッターで知り合い、沖縄で初めて会いました。

普通だったら、知らない方からの誘いにはのらないのですが、今回、例外的に私がのってしまった理由はいくつかあります。

 

第一に、お誘いいただいた朝食をどうしても食べたくなってしまった。以前からかなり気になっていた約50品目の食材を使った薬膳(やくぜん)朝食を食べさせてくれるという、沖縄第一ホテルの人気の朝食に誘っていただいたからです。しかも予約困難のお店! つまり私の食い意地のせいですね(笑)。

 

でも、それだけではありません。彼女たちが、私と同じバンドを追っかけているロック好きだったことも大きかった。さらに、私の好きなちょっとマニアックな映画や小説、展覧会も見ていた! 2人のツイッターやインスタグラムなどから、私と同じ匂いのする「カルチャーヲタク仲間」だと知ることができました。

 

素敵な朝ごはんをご一緒した彼女たちとは、その後、ライブの合間に、世界遺産であり沖縄のパワースポット「斎場御嶽(せーふぁうたき)」や、地元の人に愛される沖縄そば屋に行ったりするのですが、沖縄を()つ日まで、お互いの本名は知らないままでした。

これが食べたかった朝ごはん! 約50品目以上もあって、ヘルシーなんです。
旅友と一緒だったから行けた「斎場御嶽」(左)。御嶽とは、南西諸島に広く分布している「聖地」の総称だそう。右は、絶景が広がる「知念岬公園」。蝶が舞っていました♪

ツイッターやインスタグラムをやっている人であれば、その人がどういう趣味なのか、どういうライフスタイルを送っているのかが、ある程度、垣間(かいま)見られます。日々の食事、好きな音楽や映画、本、ファッションの傾向などが――公開している範囲内ではありますが――わかる。また、ちょっと大げさな言葉になるかもしれませんが、フェイスブックやツイッターのどんな投稿に「いいね!」をしたか、どんなコメントを残したかで、その人の「思想」や「趣味」、「食べ物の好み」「人となり」がわかる世の中になったのです。

 

もしかしたら、会社で毎日隣に座っていて名前から出身校、家族構成まで知っている同僚よりも、SNSでつながっている本名も顔も知らない他人のほうが、自分とつながれる。そんなことがあり得る時代になりました。面白いなあと思います。そしてこういう時代には、友人の作り方も変わってくるはずです。

 

沖縄で意気投合した私たち。最初は住む場所も、仕事も、家庭環境も年齢も知らないし、違う私たちが、「旅友」になったのです。同じものが好きというだけでつながれる。これって、ものすごく純粋なつながりですよね。

ぷるぷるの「てびち(豚足)」の入った沖縄そば。美味しかった!

 

100%わかりあうのは無理だし、疲れます

 
 

とはいえ、「旅友」ですから、会うのは年に数回。それで満足なのが、大人になってからの友人関係のいいところです。

 

若い頃は、友人のすべてを知りたいと思いがちです。100%知り合っているのが親友、それが友情だと考えるのは、確かに美しいことではあります。

 

しかし、BBAになると、他人を100%わかることなど不可能だということを知ります。なぜなら、同じ学校に通っていた頃とは違い、時間の使い方は人それぞれで、共通の時間を過ごすことは少なくなるからです。それは友人に限らず、恋人だって、家族だって、100%はムリ。もちろん、わかりあえなくても、相手をわかろうとする気持ちや情熱が大事だということもできますが、BBAにとっては、それも疲れるようになってきます。

 

だったら、全部を知り、共有するのではなく、お互い重なるところ、友人の10~20%を知って、共有できていれば十分だなあと思うようになりました。そのくらいの距離感がラクなのです。私が知らない部分や、私に見せない顔があっても、それでいい。

 

100%の友人を作ろうとするのではなく、10~20%を共有している友人が数人いれば、BBAは楽しく生きていけるのではないでしょうか。もしかしたらそれは、夫や恋人など、パートナーにもいえることかもしれません。

 

旅とライブはこの友だちと、食事はこの友だちと、仕事の愚痴はこの友人と、ショッピングはこの友人と……など、シチュエーションによって気の合う友人を見つけられるといいですよね。

 

とはいえ、30代、40代は、家庭や子育て、仕事などに忙しく、新しい友だちを見つけるのは難しいかもしれません。だから、色々なことが一段落してくる50代くらいから、自分が純粋に好きなことを始めたり、再開することをオススメします。その延長線上に、新しい、大人の友だちができることがあると思うのです。

 

私の「旅友」2人は働く主婦で、生活環境が違うからこそ、彼女たちに教えられることもあって新鮮です。私が旅先で、欲しいものをあれもこれも買おうとすると、「買いすぎでは?」とたしなめられる……。彼女たちは決してケチではありません。ここぞというときにドンと使う、賢いお金の使い方をしている。自分の金銭感覚がいかに雑だったか……、賢いお金の使い方、普通の金銭感覚を、彼女たちから学びました。アラ還になって訪れた新しい友人との出会いによって、それを知ることができました。

「壺屋やちむん通り」でやちむん(焼物)を買ったり、お茶を飲んだり。友人のおかげで、私は買いすぎませんでした(笑)。

今月のおまけ 令和な還暦の迎え方
(「還暦お祝い辛かったこと」を思い切って書きます!)

 
 

新しい年号になり、梅雨の季節がきて、私はとうとう還暦を迎えてしまいました。

 

皆さんの周りにも、職場やご親戚などで、還暦を迎える方がいらっしゃるかもしれません。そこで、いまの時代の還暦の祝い方を考えてみました。

 

ひとまわりくらい違う人生の先輩方からは「あら、60なんてまだまだ若いわよ」と言われましたが、やはり「還暦」って重い!「赤いちゃんちゃんこ」こそ着ませんでしたが、普段は若い気持ちで生きている私でさえ、自分の(とし)を思い知らされました。

 

といっても、平均寿命がいまよりずっと短かった時代とは違います。いまや、還暦はまだまだ人生の半ばです。

 

同年齢の友だちとも「私たち、中身は幼いまま還暦を迎えちゃったわよね。アンバランス。まるで楳図(うめず)かずお先生の漫画の赤ちゃん老婆(ろうば)みたい。悪夢だわ」と。

 

そんな「ガラスの還暦世代」からお願い。「還暦お祝い(つら)かったこと」を思い切って書きます! この際、私は嫌われてもいい。お花をいただいた皆さま、お祝いしていただいた皆さま、申し訳ありません、皆さまの大きな愛は感じました。

 

でもこれが還暦BBAの正直な気持ちです。知り合いの還暦をお祝いされる時の参考にしていただけたら。

 

1.いつまでも続く赤いお花攻撃

 

最初の2〜3回、お祝いの花束をいただいた時「あれ、なんでみんな赤い花束なの? ダリアや牡丹(ぼたん)は大好きだからまあよいけれど……」と、鈍いところのある私は気が付きませんでした。

 

その後もいただく花束は赤ばかり! で、思い切って送り主に(たず)ねて返ってきた答えは「還暦だから」。えっ還暦だから? 還暦だから赤……その後2週間くらい、私の家には赤い花が絶えず、最初は嬉しかったものの、赤い花を見るたびに「そうよ、あなたは還暦、60歳」と思い知らされるようで、往生際(おうじようぎわ)の悪い私はもう(うつ)寸前。赤い花を見るだけで拒否反応。

 

皆さまの愛はしっかり受け止めました。でも過ぎたるは拒否反応、アレルギーの始まりです。

 

そんな中届いたグリーンと白の花のアレンジにホッとしました。還暦のお祝いには、ぜひ赤以外のお花も送って差し上げてくださいね。

お祝いしてくださった皆さまの愛を感じつつも……赤以外のお花にホッとしました。

2.バースデーケーキのプレートに「60歳」

 

もうこれも、見ただけで落ち込みますよ、本当に。普段から恥じらいもなく実年齢を公表している私でさえ、参りました。

 

皆さま、子供じゃないんだから、もう40歳過ぎたらお誕生日ケーキのプレートにわざわざ年齢を入れるのはやめましょう。ムカつきます。もう十分自分の齢はわかっていますから。

ツラいバースデーケーキ……。

 

嬉しいお誕生日プレートと、ケーキ代わりの通風決定(?)な海鮮三昧お豆腐ケーキに入刀(笑)。

以上、今月のおまけでした。

毎月第1・3水曜日更新

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地曳いく子(じびき・いくこ)プロフィール

地曳いく子(じびき・いくこ)
1959年生まれ。『non・no』をはじめ、『MORE』『SPUR』『Marisol』『eclat』『Oggi』『FRaU』『クロワッサン』などのファッション誌で30年以上のキャリアを誇るスタイリスト。著書に『50歳、おしゃれ元年』『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』『ババア上等! 余計なルールの捨て方 大人のおしゃれDo&Don't』『ババアはつらいよ アラカン・サバイバルBOOK』『おしゃれも人生も映画から』『おしゃれ自由宣言!』など著書多数。槇村さとるさんとの動画連載「BBA(ババア)チャンネル byさとる×いく子」も好評配信中。http://gakugei.shueisha.co.jp/yomimono/bbach/01.html